見える文化、見えない文化

 文化には見える領域と、見えない領域があるという。ある学者によると、文化とは、「ある集団メンバーによって幾世代にもわたって獲得され蓄積された知識、経験、信念、科ch館、社会階層、宗教、役割、時間ー空間関係、宇宙観、物質所有感といった諸相の集大成」と定義されるらしい。

 また文化の機能として、文化は生まれつき持っているものではなく、社会化のの過程で教わるものであり、次世代に伝えていくものである−−学習性・伝承性。一度京成された文化は途絶えることなく続いていく−−永続性。文化はその文化を共有する人々の間の行動規範を形成する−−規範性。同じ文化背景を共有している人は、同じように身の回りに「対する意味付けを行う−−意味付与性の4点を挙げている。

 このように、文化というものは具体的に手に取れるものや、はっきり目に見えるものばかりではなく、具体的に見えない価値観や考え方も含まれるというわけだ。このように目に見える部分と目に見えない部分があることを、コミサロフ喜美という学者は「文化を氷山にたとえる」という図で表現しているとか。すなわち水面に出ていない部分が見えない部分というわけである。

 見える部分とは、例えば、音楽、文学、言葉、ダンス、絵画、住居、料理。見えない部分とは、意識、アイコンタクト、意思決定方式、表情、親子関係、教師と生徒との関係、魔のとり片、職業観、友情についての概念、時間の感覚、空間のとり方、マネージメントの方法、コミュニケーション・スタイル、結婚についての概念、子育ての方法、問題解決の方法、価値観、その他。(写真参照)

 この文化を氷山にたとえる図からは、また、「文化が、精神、行動、物質の三大要素で成り立って」おり、それらが「独立して存在しているのではなく、相互に影響および機能しあっている」ことが言えるという。