川の向こう岸から見た景色・2

 私の住む信州松本平(盆地)、盆地からはたいていどこからでも東には標高約2000mの美ヶ原の嶺・王ケ鼻が見える。(写真)

 ところが市内を移動してみていろいろに山容が変化するのでびっくりする。多くの人にとって、住んでいるところから見える山が、その人の美ヶ原のイメージであろう。

 逸話ではないが、象に触った盲人の象のイメージもさまざまである。こうでなければ、ならぬという固定したものはないのである。ところが、私たちは、あることにしろ、ものにしろ、あるいは人のことにしろ、**は**であると断定、あるいはかくかくこうでなければならないという意識(それを意識するしないは別にして)でものを見てしまうことが、多すぎはしないだろうか。

 それは潜入感、固定観念というものでもあろうが、余りに勝手にイージーに決め込んでしまうのである。しかし時として、ものごとは私たちの経験則以上に大きな変化、多様性、多面性をもって展開する。