熊井啓監督の映画「忍ぶ川」(1972)を見る


 安曇野市豊科交流学習センター・きぼうの優秀映画鑑賞会で。主演の加藤剛栗原小巻が若く美しい。音楽も情景に合いとても良かった。夫人のエッセイスト・熊井明子さん(母校のトンボ高校11回生・先輩)の講演もあった。
 
 講演の熊井明子さんの話では、当初、日活で、吉永小百合さんを主演にというプランもあったらしい(吉永さんご本人はとてもこの映画を作りたい意向を持ってようだ)。

 しかしラストの初夜の場面を、吉永さん側(特にお父さんか)、清純派女優のイメージが壊れるとして最後まで受け入れなかったので、この案は流れたらしい。

 俳優座の二人、加藤剛栗原小巻で、作品は背景は暗いのだが、日活青春ものにはない大人の重厚といってもいい、しっぽりとしてかつみずみずしさ、リリシズムを持って仕上がっている。

 「忍ぶ川」「黒部の太陽」「千利休」他、記憶に残る多くの作品を残した熊井啓監督は、すでに故人だが、信州安曇野・松本、出身、母校の大々先輩である。安曇野豊科に「熊井啓記念館」がある。映画はその記念館のあるビルの会場で行われた。