ポリーニの弾くベートーヴェンのピアノソナタ第31番を聴く...

 日曜日(20日)のNHK教育テレビ、クラシックの時間、イタリアの巨匠、マウリツィオ・ポリーニ(1942〜)の弾くベートーヴェンピアノソナタ第31番を聴いた。

 思えば、ベートーヴェンの最後のピアノソナタ、第30〜第32番は、私の一番好きなベートーヴェンピアノソナタである。否、あらゆるピアノ曲の中でといってもいいだろう。

 音楽評論家で「ベートーヴェン 不滅の恋人」(河出文庫)の著者、青木やよひさんにによれば、このラストのピアノソナタ3曲は、あの”不滅の恋人”アントーニア・ブレンターノへの追憶の悲歌だというのである。夢みるような郷愁のメロディではじまる第30番は追憶の可憐な花。第31番は自分の失われた恋人への嘆きを歌っていると...。

 この日ポリーニが弾いたのはその第31番なのだが、その第3楽章、アダージョの導入部にはベートーヴェン自らが《嘆きの歌》と書き込んでいるという。

 その哀切極まりなく美しい<嘆きのアダージョ>を聴いていると、胸を締め付けられる思いだ。ベートーヴェン深い哀しみが伝わって来るかのよう。写真は、ベートーヴェンピアノソナタを弾くポリーニ、NHK教育TVより。