「感動をもらう..」「元気をもらう..」「勇気をもらう..」

 確か、20年、30年前までは、こんないいまわし表現の仕方はなかった。だいぶ普及したのか、若者だけではなく、テレビのインタビューなどにに登場したいいおじさん、おばさんまで使っているが、違和感というか、私は使うのにはやはり抵抗がある。

 NHKアナウンス室の解説によれば、「感動」は、ものごとに強く心を動かされること。本来は、「感動する」「感動を覚える」「感動にひたる」という使い方をする。「勇気」も、恐れず向かっていく強い気力という意味で、本来は。「勇気つけられる」や「勇気がわく」というように使う。いずれも、心の中の自然な動きで、外からもらうものでななさそうだ...という。

 そして、「感動をもらう」「感動を(もらって)ありがとう」といった表現は、1990年代後半から使われるようになり、2000年のシドニーオリンピックのとき「感動をありがとう」などという観客の姿がテレビに映し出されるなどして、急速に広がったとか。

 以前は大きなスポーツイベントの感動的な場面での使い方が多かったと思うが、「感動をもらう..」「元気をもらう..」「勇気をもらう..」など、今はけっこう日常的に出くわしたプチサプライズなことなどでも使うようになっているのではないか。文法的には、いささか変な(?)と思うような表現も、時代に乗って一般化・オーソライズしていくことも多かろう。