お天気雨と狐の嫁入り

 昨日、友人と街中を歩いていたら日が照っているのに突然の雨、「おっ、お天気雨。」と私。「狐の嫁入りだ。」と友人。そして、彼の住む筑北村の旧青柳宿の稲荷社では狐の嫁入り行列が行われていると。「狐の嫁入り」実に何年ぶりに聞く懐かしい感じもする言葉だろう。お天気雨と狐の嫁入り、広く古い伝承・言い伝えであるが、ふと、今の小中学生は知っているだろうかと思った。こうしたことも、家族や大人に教わったこともあるだろうが、こども同志の伝承も多かったと思う。

 そして、以前には、はてなと思わなかった、何故お天気雨が狐の嫁入りなのかについてちょっと調べてみようと思った。その前にお天気雨の正体だが、ネットによると、1つにはははるか遠いところにある雲から降った雨が上空の強い風によって流されてくる場合、もうひとつは雨を降らせた雲が、雨が地上に到達する前に消えてしまった場合だとのこと。

 狐の嫁入り自体は、ウイキペディアによれば、一般には夜の山中や川原などで、無数の狐火が一列に連なって提灯行列のように見えることをいい、狐が婚礼のために提灯を灯しているといって「狐の嫁入り」と呼ぶ、ということらしい。では何故、お天気雨が狐の嫁入りなのか。これまたネットでいろいろ調べてみた。

昔は、夜に提灯行列などがあると、それは大抵が他の土地からやって来る嫁入りの行列だったいう。でも、昔は近所で嫁入りなどがあると、誰でも事前にその事を知っているので、予定にない提灯行列は、狐が嫁入りの真似をして人を化かしている。と言われていたと。狐火・鬼火は現象的には、今で言う「ヒトダマ」のような現象。

 その事から、晴れているのに雨が降る、と言うような天気雨は怪奇現象として扱われ、同じく狐に化かされているのではないかと言う意味合いから、「狐の嫁入り」と呼ばれるようにたなったという。ウイキペディアは、天気雨のことを「狐の嫁入り」と呼ぶのは、天気雨のときには狐の嫁入りがあるという俗信に由来しているとある。あるいは、雨の日に嫁入りをする狐達が、日中の嫁入り行列を人間に見られない様に雨を降らせているのが天気雨の「狐の嫁入り」だとも。
 
 また、狐の嫁入りの由来として、こんな哀しい民話が伝わっているところも。ずっと雨が降らない村が、狐をいけにえにして雨を降らそうとする。男前の村人が狐の娘を騙して嫁入りさせようとする。途中、狐の娘を気に入ったその男は、「これは罠だから逃げて!」と言うのだが、狐はその男が好きだったので、「いいんです」と人間の娘に化けてそのまま嫁入りをし、村人たちにいけにえにされた。すると晴れている空から大粒の雨が降ってきた、というような話。

 面白いことに、ウイペディアに紹介されているところでは、天気雨に関する俗信は世界各地に存在するようだ。代表的なものは天気雨と動物の結婚を結びつけるもので、日本の「狐の嫁入り」の他、アフリカでは猿やジャッカル、アラビア語圏の一部では鼠、ブルガリアの一部では熊、大韓民国では虎が結婚するとされる。イタリアのカラブリア州・サレント半島やイギリス南西部では日本と同じく狐が結婚すると言われる。

 地域の行事として、狐の嫁入り行列、ネットで見ると、由来や携帯はまざまであるが、多くはないが各地で行われているようだ。一番大きく取り上げられているのは、新潟県阿賀町津川地区の「狐の嫁入り行列」、この地方には古くから「狐の嫁入り行列」という言い伝えがあった。こうした言い伝えや民話を下地としデストネーションのキャンペーンイベントとしても創案され、1890年5月に第1回を開催。以降、その幻想的な祭の構成に注目が集まり、現在では津川地区の人口5000人に対し、5万人にも及ぶ観光客が訪れるようになっているとか。そのほか、毎年行われるものか、京都、東山花灯路狐の嫁入り行列も有名らしい。

友人の画家久保田氏が住む信州中部は筑北村。その宿場町の面影を残す旧坂北村青柳地区の村境にある里坊稲荷神社は、清長寺第十三代住職が慶応元年(1865)に伏見稲荷を青柳里坊の地に分社したもの。里坊稲荷神社の例祭は毎年に行われるが、この「狐の嫁入り」の行事は七年目ごとにおこなわれるという。女装をした村の男性が女狐・狐嫁などに仮装し狐の嫁入り再現するもので、長持や花嫁を乗せた籠、山車がくりだし、長持歌にあわせ、華やかな行列を作って神社までの坂道を登る。近隣ではけっこう有名う見物客やカメラマンも集まるようだ。

 1990年に祭を始めたばかりと言っていい新潟県阿賀町津川の「狐の嫁入り行列」には5万人の観光客が集まるという。それを聞くと、信州・筑北村の「狐の嫁入り行列」せっかくの観光遺産、7年に一度ではなんとももったいない。村おこしに繋がるような創意工夫・チャレンジがないものかと友人と話したところ。写真、ヤフーの画像検索より、右から2枚、新潟県阿賀町津川地区の狐の嫁入り行列、左から2枚、信州・筑北村狐の嫁入り行列。