信州蜂の子物語・2

  蜂の子を食べる習慣は、長野県の中南部が多いが、北信はあまり聞かないもののほぼ信州全体にわたっているようだ。おみやげ用など、商品として出荷されるものは缶詰だが、家庭で多いのはやはり醤油・砂糖、塩で味付けたものをご飯に入れる「ハチの子めし(ごはん)」。このほか、甘醤油で炒めたり佃煮にする。
 
 いずれにしろ、この味は信州の多くの人にとって、郷愁の味であり、ふるさとの味。なにより脂肪分もあり濃厚なうまさは後を引く。フライパンで炒って、熱い内に食べたときなど口の中でぷちゅとするのがなんともいえなかった。

 蜂の子取りは、特に伊那の山間部また八ヶ岳山麓の諏訪や佐久で盛ん。蜂の子は、学名クロスズメバチの幼虫やさなぎ、羽の生え始めた若蜂の総称で、地方ではスガリ、スガレ、地蜂(ジバチ)と呼んでいる。