続・もちばなし、ぺったんこお餅つき

  臼と杵による昔ながらのぺったんお餅つき。テレビなどで見ていても、それは実にホッっとするぬくもりを感じる懐かしい光景である。日本人の食生活にとって、餅つきは一種の原点というか、あるいは原風景のようなものではないだろうか。

 餅つきの日は、もう朝からワクワクした。暮れも押し詰まった12月も27、8日頃だろうか。モウモウとセイロで次から次と蒸し上がる餅飯。餅を付くおじたちと捏ねるおばや母の絶妙のコンビネ−ション。杵の響き。捏ね取りの掛け声。見ていてよく手をつきこまないかと感心したものだ。

 最初大小のオソナエ(供え餅)次のしもち。のして平らに延ばした餅を小さい長方形に切っていくには、なかなか力もいりこつも必要だ。白餅のほか幾臼か、こわ餅、豆餅、きび餅などの混ぜ餅もつく。豆餅は小判形にしたりする。

 しかしなんといっても餅つきの日の楽しみは、丸めて餡やきな粉・ゴマをつけた餡ころもち。また、つきたての餅を大根おろしあえで食べるのもうまいものだ。

 そんな餅つきの風景だったが、想像するに今や農家でも買ってきた切り餅のパックで済ませるところも多いのではなかろうか。