信州のうどん「ぶっこみ(おぶっこみ)」、「おぶっこ」、             

 善光寺平(長野市周辺)・西山地方の煮込みうどん。かって長野市へ来てこういう言い方をしているのを初めて知った。長野市の周辺部、農家の食べもの。いわゆるうどんよりかなり幅広の太い麺の煮込みである。
 
 小麦粉を水で固めて薄くのし、綿棒に巻き付けて、上から綿棒に沿って包丁を入れる。これを開き、六分幅に切る。大根、じゃがいも、ねぎなど時期の野菜をたっぷり入れた味噌汁をつくり、この中へ切った麺を入れて煮る。寒い夜熱いところをおわんに盛って、ふうふうといって食べる。

 今では農家でも、よっぽどこのうどんが好きなおじいさんおばあさんがいる家でもなければ、常時はやっていないではないだろうか。30年位前までは、夕食は決まってこのおぶっこを食べるという家もあったようである。じいちゃんばあちゃんはこのうどん、新しい食生活に慣れた息子夫婦と子供達は別メニ
ューという光景も...。

 このぶっこみ、おぶっこは県内の地方によっては、ブチイレ、ノシコミ、キリコミ、単にニコミとも呼ぶようだ。伊那地方の「おはっと」も麺の作り方は多少異なっていても、味噌または醤油の煮込みうどん。むろん全国にもこの種のうどん地図は大きく広がっていることだろう。