信州松本のパスタ

 信州松本のパスタ、私がそう便宜的にそう呼んでいるだけで、広く認知されたものではない。

 甲州山梨県とわが信州・長野県には、”ほうとう”と呼ぶ食べものがある。あるというより「ほうとう」といういい方が残っているといった方がよさそうだ。 広辞苑によれば、ほうとうとは、はくたくの音便形でうどん粉製の食べものと出ている。ほうとう・はくたくは、うどんの歴史の中では必ず出てくるもののようだ。私が”信州松本のパスタ”と呼ぶものもは、そのほうとうの一形態である。

 山梨県や県内の佐久地方などでは、ほうとうとは、手打ちの煮込みうどんというべきものだが、松本地方のものは、幅広のうどんの麺をやや堅くゆで上げ、きな粉和え、ゴマ和え、あんこ和えしたもの(写真参照)で、いわばパスタ風なものである。このほうとうを、松本とその周辺地域では七夕(月遅れだから8月7日〜)にお供えし食べる習慣があった。今は広く行われてはいないが、私は、このほうとうが大好き。実においしいもので、松本の名物にしたらどうかと思っている。
 
 松本風のほうとうの食べ方は、うどんやきしめんのルーツという。すなわち、こんとんやはくたくの食べ方のバリエーションのひとつようで、山梨のほうとうと同じものは平安や室町の昔からあったようである。佐久のほうとうは、信玄の東信濃支配など、交流の深かった甲州から伝幡したものだろう。写真は”松本のほうとう”でヤフーを画像検索したものの一つ。