豆飯(まめめし)と筍飯(たけのこめし)・その1

  この頃は特に俳句を始めたので、暇のある毎に取り出しては眺めている講談社版「カラー図説・日本大歳時記」。夏の巻。先の飯饐(めしす)える、饐飯(すえめし)の項の近くに、豆飯(まめめし)と筍飯(たけのこめし)があった。

 まあ筍飯は食べる機会があるが、豆飯はもう長い間すっかり忘れていたものを発見という感じ。家庭でなければ食べられない味であろう。昔、よく作ってくれた母の顔とだぶって、こみ上げるような郷愁を覚えた。

 豆飯、グリンピース、つまりむいたえんどう豆を炊き込んだご飯。そら豆や枝豆を使うところもあるようだ。この豆ご飯の印象は、歳時記の記述にもあるように、なんといっても白いご飯とえんどう豆のみどりとの鮮やかなコントラストの美しさ、初夏らしいすがすがしい季節感、 色彩感だろう。

 この豆飯の作り方は...、えんどうのさやから豆をはじき出し、塩味と昆布だしにお酒をたらして炊き上げるという。食卓に季節の彩りを楽しむ。いかにも日本的な炊き込みご飯である。豆が持つ本来の甘味と香気も実にいい。なお、なお同じ豆
の炊き込みでも、小豆(アズキ)の場合は赤飯であって豆飯とはいわない。