あんぱんが好き・3、”あんパンこそが郷愁のパンに一番ふさわしい!”

 明治7年(1874年)、東京の木村屋があんパンを考案し発売して以来140年、あんパンは日本におけるパン普及の代名詞となった。パンそのものはすでに安土桃山時代ポルトガル人によってもたらされたが、米が主食の日本では遅々として広まらなかった。

 ”まんじゅうのあんなきもの”といわれたパンにあんが入ったことで日本列島でも認知、いってみれば陽の目をみたわけである。この木村屋のあんパンは大変な人気で、明治天皇にも献上されるなど、その後発売されたクームパンやジャムパンとともに日本の津々浦々に普及していく。

 あんパンの人気は今も衰えないが、人々の胸の中には、一つや二つあんパンが映っている光景、思い出のシーンが秘められているのではないだろうか。なにしろこのあんパンは祖父母の祖父母の代から食べ継がれて来ているのだから。