芥川也寸志とショスタコーヴィチ・その1



 「今でもよくフットボールにいらっしゃるんですか?」
 「ええ、しょっちゅう行きますよ。あれは私の健康のために−−−、肉体的にも精神的にも必要なものですから....。」

 ぼくたちの会話はこんなふうにはじまったと、芥川也寸志はその著書「私の音楽談義」(1959刊・音楽之友社)の中で書いている。ぼくたちのもう一人とは、旧ソ連体制下で生きた音楽家ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(1906〜1975)である。

 当時、ショスタコーヴィチはけっこう荒くれたラフなスポーツであるサッカーにのめり込んでいて、ジャッジの資格も持っていると有名だったというが、芥川は目の前にいる男がそんな風にはとても信じられなかった。アンクルのメールマガジン「クラシック炉辺夜話」より補筆アップ。画像はヤフーの画像検索より。