映画「東京家族」を見る

 山田洋次 監督50周年記念作品、話題の映画「東京家族」を見た。案内パンフレットに、−−半世紀のあいだ、その時代、時代の〈家族〉と向き合ってきた山田洋次監督が、いま2012年の家族を描く−−とあるが、描かれている家族は、−−これは、あなたの物語です。−−というキャッチコピーの通り、どこにでもいそうなごく普通の家族である。

 長男・幸一の医院も長女・滋子の美容院も東京の西のはずれあたりにあるという設定だがどこだかはわからない。両方とも広々とした住宅地ではなく、坂の多い入り組んだせまい市街地である。その家も普通の民家を使ったのではないかとも思えるが、そんな家の内と外の狭隘な感じもリアル感をます。

 田舎から出て来た老親夫婦を歓迎しつつも敬遠する。東京で再会した家族のふれあいとすれ違い、これは誰にでもありうる物語なのだろう。しんみりとし、ほのぼのとし、こころあたたまる。その一方でそのリアルさに身をつまされもし、少々たじろぎもする。

 小津安二郎監督の「東京物語」の2012年版というところだが、単にリメーク版ではない、山田洋次監督の「家族」映画の集大成になっている感動の必見の映画である。老夫婦役の橋爪功吉行和子が好演。

 この映画を見た友人の感想。−− この映画、なかなかいい。何故か観終わった後、元気をもらったというか、俺もちゃんと生きなくちゃあというような気分になりました。 主人公は老父。「どこかで間違ごうてしもうたんじゃ、この国は」彼が飲み屋で友人に呻く場面が強く印象に残っています。−−と。

 写真は映画のPRパンフレットより。