とんでもない温泉・その2

 小説家エッセィスト清水義範氏の作品「秘湯中の秘湯」に載っているいわば温泉のパロディ版である。

 福島県の湯気蒸(ゆげむし)温泉というところは、ちょっと道路工事をするとそこから高温の温泉が噴出するというほど。そのすごい噴出量のため街全体が湯気のモヤにすっぽり覆われている。

 群馬県の空中(くうちゅう)温泉は傑作である。この温泉の湯船は文字通り高い空中にある。杉の巨木の最初の枝の窪(くぼ)みに温泉がわき出している。温泉客は木にかけられたハシゴを登って湯に入る。見晴らしのよい空中の温泉の味わいは格別とか。

 山梨県の極道(ごくどう)温泉は、その昔の信玄の隠し湯のひとつ。鉄砲傷に抜群の効能があり、この湯に浸かっていると体にめり込んだ銃弾も体外に排出されるという。故にこの温泉は当世では一般人には用はなく、もっぱらその筋専用御用達の温泉ゾーンなのである。

 写真は、200*年、友人らと行った木曽・駒ノ湯温泉。