信州のうどん・「おしぼり」

 雑誌かなにかで「全国うどん地図」というようなのを見たことがある。そこには全国の実にさまざまなうどんが載っていた。そのうどんの呼称も驚くほどバラエティに富んでいる。...うどんと呼ばずローカルな独特な名前がついている。この長野県にだってそういうさまざな名前がついたうどんが十近くもあるのだから、全国にはどれくらいあるものは想像つかない。広いわが信州、うどんのバラエティの豊富さでは、うどん県の香川県にも負けないのだ。その中でもユニークなものを、いくつか紹介してみよう。
 
 「おしぼり」、釜揚げうどんの個性的な一バリエ−ションで、そのつけ汁に大根のしぼり汁を使う。おもな材料は、うどん、大根、味噌、ねぎ。

 そのつけ汁の作り方は、辛みの特に強い地大根を一人当たり、一本の半分ほど用意し、全部大根おろしにしてふきんでしぼり汁をとる。また味つけに使う味噌と薬味のねぎのみじん切りをそれぞれ小鉢に用意する。また、かつお節を薬味にすることもある。
 
 大根のしぼり汁をちゃわんにとり、好みの量の薬味と味噌を入れ、この中にうどんを入れて食べる。熱いうどんに大根の辛みと味噌の味、薬味の風味がミックスしこの上なくうまい。長野市南部(犀川以南)から千曲市にかけよく食べられる。

 私もはじめて食べたときは、こんな食べ方もあるものかとちょっとした驚きを感じたものである。長野市のうどん店ではこの”おしぼり”をメニュ−にしている店も何一軒かある。なお、この食べ方は蕎麦でも出来る。