信州(しんしゅう)という呼び方・2

 長野県内で、信州(しんしゅう)という呼び方が広く行われているのにはもうひとつ、長野県内の特殊な事情もあるだろう。これは私の独断と偏見的推測も加わる。若い世代にはもうピンと来ないだろうが、長野県内では、明治の昔から、県庁所在地の松本移転、分県等、県会での紛糾、放火騒ぎやらひとときは血を見る抗争を長く続けて来た。故に中南信には県の名前に”長野”が付いていること自体良しとしないムードも伝統的にないとはいえないような...。

 だから中南信に作る県の公共の施設等に”長野”の名を付けるなどはまかりならぬという雰囲気も、だから施政者も余計な摩擦を生まないよう信濃とか信州とかを使ったケースが昔から多いのである。たとえば県庁所在地の都市名を県名にしている県の国立大学で県名を大学名にしていないのは、九州大学は別にして、青森県とともに唯一の県である。そう”信州大学”(写真)である。