ネムノキの花の思い出

 私の好きな夏の花の一つである。植物辞典に、6月〜7月頃、枝先に十数個の頭状花序をつけ、夕方、紅色の長い雄しべの多数ある花が傘状に集まって開き美しい、とある。葉が夜間閉じ、木の名前の由来となった就眠運動をすることでも知られる。

 ところでネムノキの花には思い出がある。1990年代、もう15年以上も前になる。ネットもまだインターネットではなく、その前約10年続いたパソコン通信の時代のことである。

 信州の佐久市には、ネム(合歓)の木の並木道がある。その花の咲いているのに最初に出くわしたのは、ある年の夏のはじめ、佐久市にホストを置く千曲川ネットのオフラインミーティング(今でいうオフ会)に出かけた時だった。県内の各市町村にもいろいろな街路樹があるが、ネム(合歓)の木の並木というのははじめて。単独の木は道路脇にあるのを見たりするが、街路樹で連なって咲いている様はなかなかみごとなものだった。

 それ以来、その季節になると、私がボ−ドで”・・・ネムノキの花はもう咲きましたか?..”と尋ね、地元のネットワーカーがそれに応えてくれるというやりとりが数年か続いたものだった。その後何年か、ネットが廃止になり、それも途絶えたが、そんなことには関係なく、今年の夏もあの街道のネム(合歓)の木々は、せいいっぱい花を咲かせていることだろう。

 その後、職場でその話をしていたら、当時住んでいた長野市内にもネムノキの並木道があるよ教えられびっくり。さっそく行ってみたのはもちろん。住宅街の中、5、600mくらいに並木が続いていた。ネットでみると、秋田県の旧象潟町(現在、かほ市の一部)の町の花であり、りっぱなネムノキの並木もあるらしい。