「青春」という言葉・2

 日本人はきっと「青春」(せいしゅん)という言葉のひびき・語感にもたいそう好感を持っているのだろう。英語ではYOUTHだが、母語話者にとって日本語の「青春」と同じような感触を持った言葉なのでであろうか。

 アメリカより日本での人気が高いともいうサムエル・ウルマンの「YOUTH」という詩、日本には「青春」と訳されているが、研究社の英中和辞典に出ている訳によれば、「青年時代」でも「若さ」でもおかしくない。むろん「青春」が訳としてぴったりなのだが、原作者の意図したものは果たしてどれに一番近いのか。いづれであれ「青春」の詩が、日本で受け入れられとりわけ共感を呼んだのは、日本人が持つ青春いう言葉に持つ大いなる好感度、アイデンティと]も関係していたのだろう。

 サムエル・ウルマンの「青春」の詩、作山宗久氏訳の冒頭の部分がいい。−−青春とは人生のある期間ではなく、心の持ち方をいう。バラの面差し、くれないの唇、しなやかな手足ではなく、たくましい意志、ゆたかな想像力、もえる情熱をさす。青春とは人生の深い泉の清新さをいう。−−

 青春とは人生の深い泉の清新さをいう。−−というところが特に。原作の英語では、−−it is the freshness of the deep springs of life.、全体的に初心者にも分かりやすい平易な英語である。