「青春」という言葉

 日本人は、とりわけ「青春」という言葉が好きなのだと思う。それは、青春という言葉をタイトルに使った小説や歌、商品、フレーズなどが実に多いことからもうかがえる。それも「青春」また「青年」という言葉ばがこんなに繁く使われるようになったのは恐らく明治時代以降ではないか。

 「青春」の語源について、ウィキペデアには、−−、元は春を表す言葉である。古代中国の五行思想では、「春」には「青」が当てられる。同様に、「夏」を「赤」、「秋」を「白」、「冬」を「玄(黒)」に当て、それぞれ「青春(せいしゅん)」、「朱夏(しゅか)」、「白秋(はくしゅう)」、「玄冬(げんとう)」という。これらは季節を表す言葉であり、これが転じて、日本では特に「青春」について人生における若く未熟で、しかしながら元気で力に溢れた時代を指すようになった。−−とある。もっとも「青春」以外の言葉、)「朱夏(しゅか)」、「白秋(はくしゅう)」、「玄冬(げんとう)」が人間の年代を表す言葉として用いられることは、一般的な用法ではないようだ。
 
 「青春」という語彙が明治以前の文学作品、物語、詩歌などに頻出しているものかはわからないが、古くから、「青臭い」や「青二才」といった言い方はされ、「若さ」や「未熟さ」をしばしば「青い」と表現してきたという。当の現代中国でも同じ意味で「青春」という言葉はあるようだが、日本ほど頻繁には使われていないのではないか。