からまつの林を出でて、からまつの林に入りぬ...

ーーからまつの林を出でて、からまつの林に入りぬ。からまつの林に入りて、また細く道はつづけり。からまつの林を過ぎて、からまつをしみじみと見き。からまつはさびしかりけり。たびゆくはさびしかりけり。ーー

 有名な北原白州の詩、「落葉松」の一節である。そんな詩のイメージを想起させる乗鞍高原鈴蘭、黄葉のからまつ林の風景である。葉がすっかり落ちてしまうと、冬も間近、さびしい限りだが、黄葉のからまつの道はおもいのほか明るい。とりわけ太陽に輝くからまつ黄葉の森はまばゆいほど美しい。なお、北原白州の詩の舞台は、軽井沢、浅間高原だが、信州の山にはからまつ林が多い。





取材13年11月5日。