「亡き父の 育てし鉢の 菊日和」

 平成**年の秋口、父は2日ほど入院しただけであっけなく逝ってしまった。心臓病だった。入院する前々日まで元気にバイクに乗っていたというが。それまで庭いっぱい丹精込めて育てていた多くの菊の鉢が、まだ花開かぬまま残された。が、やがてそれらは父を弔うがごとく、いつもの秋のようにみごとに花を咲かせた。

 好きで父が毎年作っていた菊だったが、翌年はもう育てる人もなく寂しい秋の庭に..。「亡き父が 育てし菊の 今はなく」