”前で”へ出ろ!

 信州人は、言葉にコンプレックスを持っていないから、都会やよその県へ行っても平気で”地”の言葉が飛び出す。他県の学校に赴任した先生も生徒の前で、思わずそんな言い方をしてしまうのだろう。指摘されてはじめて、その言葉が”方言”的な言葉であることを知らされて驚く。

 この”前で...”という言い方もそんな言葉の一つであろう。会場などで、前の方の席が空いているとき「みなさん、もっと”まえで”の方に詰めて下さい」「改札口の”まえで”で待ってるわ」などと使う。どうも”前”だけでは物足りないらしい。”まえで”があるなら、”うしろで”もありそうだが、あまり使わない。