害虫回想記・その6、蚊帳(かや)緑色


 蚊帳、若い人はカヤと読めただろうか。小中学生・高校生には、聞くところによれば昔そんなものがあったらしいという感覚だろう。

 この蚊帳、木綿または麻製、木綿製は湿気も吸いやすく重い。上等なものがそうなのか白いのもあったけれど、たいがい濃い緑色。蚊帳の緑色というのは蚊との攻防の中でなにか意味をもっているのかもしれない。ともあれ、蚊帳は夏を代表する風物誌であった。

 雷が来たら蚊帳の中に逃げこめば大丈夫ともいわれたものだが、蚊帳が張ってある蒸し暑い中で、うちわを動かした日々をあの濃い緑色のイメージとともに思いだす人も多かろう。若い方は、父、母,祖父母などに聞けばなつかしそうに話してくれるかもしれない。

 ところで全く蚊がいなくなったわけでもないのに、いつのまにか蚊帳が使われなくなったのは、サッシの網戸や**マットみたいなのが普及して、やはり蚊帳張りがわずらしくなったのだろう。もっとも私は蚊には好かれない体質らしく、**マットなしでも蚊に食われたことは滅多ない。