漢字熟語輸入大国、中国!

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  アトランダムに並んだ上の漢字、私のメールマガジン安曇野(あづみの)通信」12.11.01号で紹介。中国の「日本漢字和漢字詞研究」いう本の巻末に載っているというもの。これらは 、明治期、欧米からどっと入ってきたそれまでの日本にはなかった新しい概念を日本人が苦心して漢字熟語に訳し、置き換えられた言葉である。そして、中国へ逆輸出(?)した漢字熟語なのである。もっとも中国では例の簡体字で書かれるだろうが。

 むろん当時の中国(清国)でも欧米からの新しい概念に対応する漢字が多く作られたが、 結果的にはそれらの多くは淘汰され、日本から行った和製漢語・熟語が使われているようなのである。このことは、日本人の造語能力のすばらしさは、漢字の本家中国を上回るのではとも思える証左ではなかろうか。。

  「日本語と漢字文明」(黄文雄・著/WAC・黄さんは台湾出身の方)という本の中で、当時、日本人と中国人が訳した漢字の例が載っている。例えば、物理学(和製漢語)、格致学(中国の訳語)、地質学(和製漢語)、地学(中国の訳語)、雑誌(和製漢語)、叢報(中国の訳語)、社会(和製漢語)、人群(中国の訳語)、原料(和製漢語)、天産之物(中国の訳語)、功利主義和製漢語)、楽利主義(中国の訳語)など。だが、これらの訳語は和製漢語ほど使い勝手が良くなかったらしく、最初は平行して使われたりもしたが、次第に使われなくなり消滅したようである。

  中国に行った漢字の中には、癌(がん)、吋(インチ)、哩(マイル)のように日本で作られた漢字、日本で音訳された西洋語が漢字で表されたもの、瓦斯(ガス)、倶楽部クラブ)、浪漫(ロマン)など。現有の漢字を使って日本で新しく組み合わされて出来た漢字。交流、否決、動態など。なお、日本から中国に渡ったが、後に淘汰され中国では使われなくなった語もあるようである。例えば、切手、万年筆、夕方など。