三拍子そろう?

 と来たら、”呑む、打つ、買う”の三拍子であろう。でもこれは良からぬ悪癖のイメージの三拍子。しかし当節は、三拍子そろうなんていい方はあまりされなくなっているとか。図書館から借りて来た『音楽コネタ』おもしろ雑学事典・瑞穂れい子著・(株)ヤマハミュージックメディア刊 という本をぱらぱらめくっていたら、「三拍子そろう」という項目が目についた。
 
 ネットを検索しても、この”三拍子”が西洋音楽の3拍子から来たものでないことはわかる。「三拍子そろう」の”三拍子”とは、能で使う楽器のこと。大鼓(おおつづみ)、小鼓、笛のことを指している。昔から能の世界では楽器のことを「拍子」ち呼んできたとか。例えば、太鼓、太鼓、小鼓、笛なら四拍子、そこから一つ楽器が抜ければ三拍子という具合である。ひな人形の五人囃子が持っている楽器である。一人は謡い手であるが。

 能の舞台では、これらの楽器が欠かせない。太鼓はともかく、少なくても残りの三つはそろっていないと話にならない、というわけで必要な条件がそろうことを「三拍子そろう」というようになったのだという。