フヨウ(芙蓉)の夏!

 
 夏に咲く花、さまざまあるが私はなんといってもフヨウ(芙蓉)の花が好きだ。

 ところでフヨウの花が咲いてもほとんど話題になることもない。全国にボタン寺、アジサイ寺などはあまたあると思うが、ウイキペデアに芙蓉の寺、長浜の舎那院というのが載っていて、むろんなくはないだろうが、フヨウの寺というのはあまり聞かない。だいたい**宅で**が満開というような身近なニュースまで知らせてくれる私の居住する町のミニローカル・タウン紙でも、およそ記事になったのを見たことがない。

 植物辞典には、九州、沖縄、中国に自生し、伊豆半島紀伊半島山口県、四南端の沿海地に野生化しているとある。それ以外では、各地で半野生化もしているタチアオイと違って、植えてなければそこにないことになるが、私が見る範囲のフヨウはあまり大切にされているとは思えない。大方、あまりぱっとしないところ、庭か畑の片隅、隣地との路地境・道路脇などに植わっている。まあいってみれば、扱い方がぞんざいである。

 そんなフヨウだが、夏の強い陽に抗して咲くこの花が私は大好きである。フヨウとい名の響きも、芙蓉という漢字も、品があっていい。同じアオイ科の仲間、ムクゲタチアオイに比べてもずっと好印象。もっとも一見、これはアオイなのかムクゲなのかフヨウなのか良くわからない場合もあるのだが...。