「終戦の日も咲いていたのか紅蜀葵(こうしょくき)」

 私は夏の花、フヨウ(芙蓉)が大好きである。半野生化もしているタチアオイと違って、植えてなければそこにないことになるが、私が見る範囲のフヨウはとても大切にされているとは思えない。むしろ扱いが粗雑、大方、あまりぱっとしないところ、庭か畑の片隅、隣地との路地境・道路脇などに植わっている。

 そんなフヨウだが、夏の強い陽に抗して次ぎ次ぎと咲く。フヨウとい名の響きも、芙蓉という漢字も、品があっていい。同じアオイ科の仲間、ムクゲタチアオイに比べてもずっと好印象。もっとも一見、これはアオイなのかムクゲなのかフヨウなのか良くわからない場合もあるのだが...。

 以前、私のホームページでフヨウの特集をしたこともある(アンクルのアオイフヨウコレクション:http://uncletell.web.fc2.com/aoifuyo1007.html)が、花弁の白から、薄いピンク、朱へのさまざまな色合いと態様の変化、バリエーションも面白い。直径20cmにもなる大きな花をつけるアメリカフヨウ。浅い皿状に広がって互いに重なるため円形に見える花弁。その白地と中心部の赤い色とのコントラスト。ムクゲにもタチアオイにも八重咲きのものがあるが。八重咲きのフヨウともいうべきがスイフヨウ(酔芙蓉)、朝咲き始めた花弁は白いが、時間がたつにつれピンクに変化する。フヨウの中では開花の時期が遅い。

 紅蜀葵(モミジアオイ)は、葉はフヨウとは違い掌状に裂けて長く、花弁の間は隙間があるが、花は先細のものからかなり丸星のものまで、またフヨウの花と感じがかわらないものもある。昨年の終戦の日安曇野山麓線で見た紅蜀葵も、大きく朱色が実に鮮やか、フヨウと見まがう感じの花弁が印象的だった。眺めていて思わずつぶやいた。”終戦の日も咲いていたのか紅蜀葵”