害虫回想記・その3、”虱(シラミ)

  シラミは、戦後という言葉がまだ現実的だった昔々、小学校でも女の子なんかいっぱい髪の毛にたかして、DDTの白い粉まぶされて、ふくろかぶってたもの。あれこれはモノクロの記録映画の光景だったか。いづれにしても黄色ばんだ白黒写真の世界でのこと。昔々、戦後のある時代まではそんな虫々が日本中にウヨウヨバッコしていたものだ。

 DDTなどと書いたが、このDDTもBHCも一時代を作った殺虫剤の名前であるが、今や完全に死語。BHCなんか、薄い円形の函で横に小さな穴が開いていて、函の両側からパコパコ指で押すと白い粉末が穴からシュシュと出たもの。今やなつかしい。ボール紙の筒で出来た水鉄砲式のものもあった。これらででノミ、シラミ、ダニなどもろもろに立ち向かったわけである。エアゾール式の殺虫剤が出現するのはしばらく後のこと。